がんにともなう悪液質は、食欲不振と進行性の異化亢進にともなう全身性機能低下であり、宿主の細胞レベルにおける代謝異常によると考えられている。腫瘍壊死因子(Tumor necrosis factor: TNF)などによる宿主の異化反応は、骨格筋の蛋白を減少させるため、筋断面積が縮小し筋力や筋持久力の低下を引き起こし、廃用症候群をきたしやすい。さらに、治療にともなう安静 臥床は筋骨格系、心肺系などの廃用をもたらし、日常生活のさらなる制限をもたらすという悪循環に陥ってしまう。がんの進行による悪液質の増悪は避けられないが、易疲労に注意しながらで きるだけ離床を促し、リハビリにより機能維持に努める必要がある。 |