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骨転移
 
 

 
   
骨転移
 
骨転移は脊椎、骨盤や大腿骨、上腕骨近位部に好発し、初発症状として罹患部位の疼痛を生じるので、がん患者が四肢、体幹の痛みを訴えた場合には常に骨転移を念頭に置くことが肝要である。初期に病変をみつ け対処しないと、病的骨折を起こし、脊椎では脊椎損傷となる例も多い。転移部は軽微な力でも骨折がおこるため、転移部に大きな力が加わることを避けなければならない。特に、長管骨や脊椎の骨転移がある場合 には注意が必要である。
Harringtonは1)骨皮質の全周50%以上の破壊、2)適当な局所療法にかかわらず、荷重時の痛みが持続、増強あるいは再燃、3)大腿骨近位で、病変の径が2.5cmを超えるか小転子の剥離を生じている、ものを切迫 骨折と定義している。この定義に当てはまる場合には放射線治療中や手術といった骨折予防のための積極的な介入が必要となる。ハイリスク状態であることを患者が十分に理解し、松葉杖や歩行器などによる免荷歩 行を習得する必要がある。
骨転移に対する治療方針は、腫瘍の放射線感受性、骨転移発生部位と患者の予想される生命予後な どにより決定される。多くの場合で放射線照射が第1選択となるが、大腿骨や上腕骨などの長管骨転移 では、病的骨折を生じるとQOLの著しい低下をきたすため手術対象となることも多い。
理学療法に際しては全身の骨転移の有無、病的骨折や神経障害の程度を評価、骨折のリスクを認識し、 腫瘍専門の整形外科医と情報交換を行い、訓練プログラムを組み立てる。特に、長管骨や脊椎の骨転 移のある場合には、転移部に急な衝撃や大きなモーメント、捻転力が加わらないように留意する。リハビ リ開始にあたっては、患者、家族への病的骨折のリスクについての説明を十分に行い、承諾を得る必要 がある。